3日目は午前にインタビューを行うグループ(Group1)と午後にインタビューを行うグループ(Group2)に分かれて、家庭訪問調査とトレンド調査を行いました。
今回のこの記事ではGroup2の活動をメインに記載します。
トレンド調査ではショッピングモール内の店舗やレトロ複合ビル、若者が買い物をするファッションスポットを中心に訪れました。
調査場所① Vincom Center(ヴィンコムセンター)
・minigood

・OH!SOME

・マツモトキヨシ

・Watosons

調査場所② PARKSON
・ニトリ

・無印良品

・コーナン

・ユニクロ

調査場所③ The New Playground (若者向けファッションスポット)

以下は調査の結果から得られた発見です!
- キャラクターとアニメ文化の多様性
店頭(調査場所①:minigood, OH!SOME)には、かわいらしくデフォルメされたキャラクター商品が多く並んでいました。一方で「ちびまる子ちゃん」「ドラえもん」といった日常系アニメから、「進撃の巨人」のようなシリアスな作品まで幅広く展開されており、ベトナムの若者が“かわいさ”と“リアルな世界観”の両方を受け入れていることが考えられました。
- 美容・ライフスタイルの志向
コスメ売り場(調査場所②:マツモトキヨシ, Watosons)では、日本と韓国ブランドが圧倒的な存在感を示していました。美白や美肌を重視する傾向が強く、アジア共通の「透明感」への憧れが見て取れます。
一方で、日本製スピーカー(Sony)はあまり人気がなく、その理由として「多機能だが、高価すぎる」と考えられます。ベトナム市場ではコスパが高いの方が評価されやすいのではないかと考えます。
- ファッションの特徴
ユニクロをはじめとするファストファッションの価格帯は日本とほぼ同じで、ベトナムでは「手頃さ」よりも「少し背伸びしたブランド」という印象を与えているように感じました。
また、服の色合いは単色・淡色が中心で、派手なグラデーションや暗色は少なめ。スタイル面ではウエストを強調したデザインが多く、オーバーサイズやY2K的な装いはあまり見られませんでした。全体的に「シンプルで清潔感のあるスタイル」が好まれている様子がうかがえます。
- 店舗づくりと購買体験
各ショップ(調査場所②:ニトリの写真右下, 無印良品, ユニクロの写真左側, 調査場所③:The New Playgroundの写真真ん中の下)では、商品の使い方や着用例を分かりやすく提示する工夫が目立ちました。たとえば、着用写真をポストカードのように商品横に置くことで、来店者が生活シーンを想像しやすくなっています。
さらに、子供から大人まで幅広い年齢層向けの商品を揃える店舗が多く、家族で訪れても楽しめるラインナップとなっていました。
- 消費と生活文化
飲食店を観察すると、日本ではよく見られる「子供にスマホを渡してYouTubeを見せる姿」はほとんどなく、家族や食事そのものに集中する傾向が感じられました。また、カウンター席が少なく、グループや家族利用を前提とした店づくりが多い点も特徴的です。
お昼ご飯は、Vincom Center の地下の「Wrap&Roll」というお店に入りました!このお店では、チャージョーというベトナム式の揚げ春巻きがとても美味しく、印象的でした。また、時間が押していたため、急ぎながらになりましたが、Group1とGroup2間でどんな発見があったのか情報共有を行いました!

今回の家庭訪問調査では、ホーチミンで暮らす若者のリアルな生活や価値観を探るため、26歳のバーテンダー・ちゅんさんにお話を伺いました。大学時代に始めたアルバイトをきっかけにバーテンダーとしてのキャリアを積み、現在は6年目で接客と調理の両方を担当し、仕事に誇りを持っています。
生活と趣味
勤務スタイル:週4日勤務で、給料は月1500万ドン。家賃は300万ドンで、比較的ゆとりのある生活を送っています。
休日の過ごし方:ゲームやバドミントン、ウォーキングが中心。特にPCゲーム「League of Legends」や「Valorant」を友人と楽しみ、サッカー観戦やプレーも趣味のひとつです。日本の三笘薫選手も知っていました。
エンタメ:Netflixで「鬼滅の刃」や「名探偵コナン」を視聴し、韓国ドラマ「イカゲーム」なども好んで見ています。
SNS・デジタルライフ
利用状況:InstagramとFacebookをメインに使用。特にインスタグラムではストーリーズに仕事の様子を投稿し、友達とのコミュニケーションに活用しています。アカウントの使い分けはせず、1つで十分と考えている様子でした。
その他アプリ:Zaloが日常的に最も使われる連絡ツールで、LINEは使っておらず、名前を聞いた程度とのこと。TikTokは以前は利用していたが、現在はほとんど見ないそうです。
動画視聴:YouTubeではゲーム実況やサッカー関連、アニメの切り抜きを楽しんでいます。
家族と価値観
家族:両親と弟妹は地元に暮らしています。父は警察事務、母は専業主婦。
親世代との違い:「昔の人は決まったことをこなすだけだが、今の世代はマルチタスクで新しい文化を取り入れるのが早い」と話していました。
結婚観:30歳までに、愛嬌があり性格の良い女性と結婚したいと考えており、相手が自分より稼いでいても気にしないとのことでした。
海外経験と他国への印象
旅行経験:タイ(バンコク、チェンマイ、プーケット)を訪れたことがあり、日本にも「寿司やウナギを食べてみたい」という憧れを持っています。都会よりも田舎を好み、友人が住む北海道を訪れたいと語っていました。
国の印象:
日本:食文化が豊かで魅力的。
韓国:元恋人の思い出が結びついている。
中国:政治的理由で好感を持てない。
アメリカ:オープンで個人を尊重する国というイメージ。
ライフプランと将来
生活満足度:現在は100点中70点。残り30点は「家、恋人、両親への安心感」があれば満たされると語ります。
夢:地元に両親のための家を建てること(建設費は約80億ドンを想定)。また、コンパクトなHyundaiの車を購入し、ライフスタイルに合った移動手段を持つことを望んでいます。
価値観:「外国は旅行で行く場所。最終的にはベトナムでの暮らしが一番好き」と語り、心理的にも物理的にも人との距離が近いベトナムの生活を大切にしていました。


最後に
今回の調査を通して感じたのは、ベトナムの若者文化には「シンプルで清潔感のあるスタイル」と「家族や身近な人とのつながりを大切にする価値観」が同時に存在しているということです。ショッピングモールやファストファッションのお店では、単色や淡い色合いのコーディネートが多く、商品の使い方を示す展示によって「自分の生活に取り入れるイメージ」を持ちやすく工夫されていました。これは、ただ流行を追うのではなく、自分の暮らしに自然に溶け込むものを選ぶ消費スタイルだといえます。
一方、家庭訪問を通じて出会った若者は、SNSやゲームといったグローバルな趣味を持ちながらも、生活満足度の基準を「家族や恋人との関係」に強く結びつけていました。海外文化やトレンドを積極的に取り入れていながらも、根っこの部分では身近な人との安心感を大切にしていることが印象的でした。
調査を終えて改めて思うのは、ベトナムの若者たちは海外の文化(アニメ・ドラマ・スポーツ)や商品(コスメ・ファッション・旅行)を日常生活に柔軟に取り入れながらも、自分たちの生活文化に合った形で消費やライフスタイルを築いているということです。私自身、この経験から「グローバル化が進んでも、地域ごとの個性や価値観はしっかりと生き続けている」ことを学びました。これからも、そうした“「行動」や「価値観」の積み重ねによって現れる文化のかたち”を丁寧に観察していきたいと思います。
(マジマジ)