いよいよ視察も最終日を迎えました。この日は午前にJETROホーチミン事務所を訪問して経済や消費の背景を学び、その後はローカル食堂で昼食をとり、午後はファッションストリートやチョコレートブランドをめぐりました。夜には最後の夕食会で全員が振り返りを行い、これまでの学びを言葉にする時間となりました。
午前:JETROホーチミン事務所で現地のリアルを学ぶ
午前は JETRO(日本貿易振興機構)ホーチミン事務所 を訪問しました。ここではベトナム経済や消費文化、日系企業の進出状況について詳しいお話を伺いました。
まず驚いたのは、「若い国」というイメージに反して都市部ではすでに高齢化が進んでいるという点です。若年層のトレンド消費に注目しがちですが、今後は高齢者向け市場やサービスの拡大も重要になると知り、社会の多層性を実感しました。
また、南北の違い についても興味深い説明がありました。ホーチミンは新しいものを積極的に取り入れ、消費意欲が旺盛。それに対して、首都ハノイは堅実で保守的とのこと。これまで街歩きで感じた「南部の熱気」が、地域特性として裏付けられました。
さらに、行政手続きの難しさ も具体的に語られました。日系企業の進出は盛んですが、その裏では複雑な制度や認可のハードルが存在し、ビジネス展開に時間がかかることも少なくないとのこと。経済の勢いと制度の壁、そのギャップを垣間見た気がしました。
生活に直結する話題としては、市場とスーパーの共存 や コンビニの普及 が挙げられました。値切り文化が根強く残る市場と、定額で整然と商品が並ぶスーパーが両立していること、そして都市生活に不可欠な存在となりつつあるコンビニ。これらは実際に街を歩きながら見てきた光景とも重なり、「なぜそうなっているのか」という背景を知ることで理解が一層深まりました。

JETROでのお話は、単なるデータの紹介ではなく、私たちが体感してきた現地の様子に意味を与えてくれるものでした。街の風景の裏にある仕組みや文化を知ることで、今回の視察全体を整理するような時間になったと感じます。
昼食:ローカル食堂で味わう日常
昼食は「Cơm Tấm Sườn Quê」でいただきました。
観光客向けではない食堂での食事は少し緊張しましたが、現地の人と同じ日常に入り込んだような感覚がありました。料理は素朴で親しみやすく、安心できる味わい。ちょうど月曜日のお昼時だったこともあり、ビジネスマンでいっぱいの店内はとても賑やかでした。話は少しそれますが、日本と比べてオフィスカジュアルがかなりラフなのも印象に残りました。


午後:若者ファッションの現場を歩く
午後はNguyen Trai通りのファッションストリートを散策しました。
これまで女性向けブランドを見ることが多かったため、この日は男性向けのショップを中心に観察しました。派手な配色や大胆なデザインが多く、日本の「シンプル・清潔感重視」とは大きく異なります。調べると、こうした色やデザインを取り入れるスタイルは「ドーパミン・ドレッシング」と呼ばれ、気分を高める自己表現の手段として注目されているそうです。
途中では、ゼミ生のあおくんが現地ショップでイメチェン(?)に挑戦する場面も。普段とは違う服を試す姿に、現地ファッションの自由さや楽しさを体感している様子が感じられました。

特に印象に残ったのは STRESSMAMA というブランドです。
2020年に生まれたベトナム発のストリートブランドで、「大人になっても子ども心を忘れない」というコンセプトを掲げています。遊び心あふれるデザインやメッセージ性の強いアイテムは、ファッションを通して自己表現を楽しむ文化を象徴しているようでした。
夕方:BINON CACAOでひと休み
夕方は BINON CACAO に立ち寄り、ベトナム産カカオを使ったチョコレートを味わいました。
「Farm to Bar」を掲げるブランドで、バリア・ブンタウ産のカカオを使用しています。洗練されたパッケージや落ち着いた店内は、日本の専門店を思わせる雰囲気でした。ここでは特に学びというより、ベトナムの食文化の新しい一面を楽しむことができました。


夜:最後の夕食での振り返り
夜は視察最後の夕食会となり、学生一人ひとりがこの4日間の学びや気づきを振り返りました。


「現地の当たり前が外から見ると価値になる」「食やファッションを通じて人々の美意識を理解できた」といった感想が多く出されました。ゼミ生それぞれが自分なりの発見を共有し、和やかな雰囲気の中で視察を締めくくることができました。
(ジーニー)